ぶらりうぉーかー

ぶらりお散歩とプチ旅の参考書です。

【回向院】泥棒「鼠小僧の墓」があるお寺は日本一の無縁寺

こんにちは。今回は東京都墨田区にある『回向院(えこういん)』の参拝録です。
両国駅の近くにある『回向院』は、日本一の無縁寺と呼ばれており、大火事、大地震で亡くなられた多くの無縁仏を埋葬しています。「有縁・無縁に関わらず、人・動物に関わらず、生あるすべてのものへの仏の慈悲を説く」が『回向院』の理念との事で、境内には、色々な動物の供養塔が点在しているのも見どころの一つです。
お参りのハイライトは、何と言っても江戸時代の有名な盗賊「鼠小僧のお墓」。受験生にも人気のパワースポットとして知られています。

正門

丸い屋根が印象的な正門です。正門のすぐ前は「両国二丁目」交差点があります。

『回向院』は、約360年前の明暦三年(1657年)に開かれた浄土宗のお寺。山号は諸宗山。本尊は阿弥陀如来です。
「振袖火事」の名で知られる江戸で発生した明暦の大火は、市街の60%以上が焼土となり、10万人以上の方が亡くなられたといわれています。この大火事によって亡くなった多くは、身元や身寄りのわからない方たちで、当時の将軍家綱は、無縁の人々の亡骸を手厚く葬った「万人塚」をつくり、この時、建立されたお堂が『回向院』の始まりなのだそうです。

力塚

参道を進んでいくと右手の大きな石碑が見えてきます。これは、昭和十一年に相撲協会が歴代相撲年寄の慰霊の為に建立したものなのだそう。江戸時代に回向院境内で勧進相撲が行われていたとの事で、『回向院』は大相撲ゆかりのお寺だったんですね。

聖観世音菩薩立像

「力塚」の隣りにあるのは、「万霊供養塔」の上に立つ聖観世音菩薩立像。
この「万霊供養塔」が「万人塚」の事なのかな。

正面に見える建物が「本堂」、右横の建物が「念仏堂」です。

念仏堂

2016年グッドデザイン賞を受賞している「念仏堂」。
1階の屋根・2階の床部分に竹林をつくっているのが面白いですね~。”空中の竹林庭園”と呼ばれているそうな。

ガラス越しに1階の天井画が見られます。「念仏堂」の2階に念仏回廊・浄土の滝などがあるようですが、法事などの利用者しか入れないと思った為、行かず。が、頂いたリーフレットを見ると行事や法要が行われていない時は、拝観可能かも知れませんね。次回参拝時に拝観してみよう。

本堂・寺務所

「念仏堂」隣りの3階建ての建物「本堂」へ。

天井画「鳴き龍」

本堂前ホールの天井には龍が描かれています。龍の下で手を叩くと、龍の鳴き声が聞こえてくる仕組みとなっているようです。

早速、動物の供養塔を発見。動物納骨堂前にあるのですが、これは猫ちゃんの供養塔だろうか。

魚供養

「魚供養塔」がありました。カニの置物が気になりますね!

馬頭観音堂

『回向院』ホームページによると、開創間もない頃、将軍家綱公の愛馬が死亡した際、その亡骸を『回向院』に葬り、その供養の為に「馬頭堂」を建立したとの事。

小鳥供養塔

これは「小鳥の供養塔」。

犬猫供養塔

三味観世音犬猫供養塔(糸塚)

立派な「犬猫供養塔」。特に「糸塚」と並んだ塔がいいですね。最初、「糸塚」って何だろうと思いましたが、三味線の為に犠牲になった動物の供養塔らしい。特に猫皮・犬皮が用いられる事もある為、供養塔を建てたんですね。

地震・大火などの供養塔

この一角は、「安政の大地震」や「関東大震災」「明暦の大火」などの供養塔が立ち並んでいます。

塩地蔵

「鼠小僧の墓」に至る参道入口の左側にある「塩地蔵」。
参詣者が、願い事が成就すると塩をお供えしたことから、「塩地蔵」と呼ばれ親しまれてきたようです。袋ごと、塩がお供えされていますね!

参道の右側に建つ円すいのフォルムが印象的なお堂。

「鼠小僧之墓」の表示板。お墓は参道の突き当りにあります。

なんとまぁ、お墓への立派なアプローチ!

鼠小僧の墓

「鼠小僧」は実在の人物で、俗名「中村次郎吉」、戒名は「教覚速善居士」。お金に困った貧しい者に、大名屋敷などから盗んだ金銭を分け与えると言う姿は、時とともに尾ひれがつき、伝説化したものらしいのですが、武家屋敷に侵入して、大金をせしめるダークヒーロー像は、庶民にとっては痛快な存在だったのかも知れませんね。実際は、賭博の資金稼ぎの為に盗みを働いたみたいで、最後は、市中引き回しの上、獄門の判決が下されて処刑されています。

お前立ち

この白い石の事を「お前立ち」と呼ぶのだそうです。長年捕まらなかった幸運にあやかろうと、「お前立ち」を削って持ち帰り、お守りにするのだそう。「金運」や「勝負運」「仕事運」のご利益があるとされています。

参拝された皆さん、一生懸命に削られていました。受験生にも人気のスポットみたいで、削った粉を身に着けていれば”合格間違いなし”なのかな。戒名の「教覚速善居士」も、教科書、覚える、速い、善しと連想してしまうので、受験生には最強ですね!

猫塚

ガラスケースの中に丁重に安置されている「猫塚」。「鼠小僧の墓」の隣りにあります。”猫の恩返し”の昔話が面白い。落語の演目のひとつでもありますね。
猫を可愛がっていた魚屋が、病気で商売に行けなくなり、お金に困っていたところ、猫が2両をくわえてきた為、何とか食つなぐことができて助かる。猫はそれ以降、見掛けなくなったが、ある商家で、2両をくわえて逃げようとしたところを見つかり、奉公人に殴り殺されてしまうと言う話を聞く。魚屋は、猫の死骸を『回向院』に葬ってあげたとの事。

水子塚

「鼠小僧の墓」の後ろにある「水子塚」。
寛政五年(1793年)、時の老中松平定信の命によって造立されたもので、『回向院』ホームページによると、水子供養の発祥の地は、ここらしい。たくさんの風車が可愛らしい。

参道の真ん中でくつろぐ猫ちゃん発見。このお寺の看板猫なのかも知れませんね。ふっくらとした人懐こい猫ちゃんでした!
「両国」を訪れた時には、ちょっと参拝に立ち寄って参拝してみたい『回向院』のご紹介でした。

基本情報

・名称:回向院
・住所:東京都墨田区両国2-8-10
・電話:03-3634-7776
・駐車場:なし
 ※近隣コインパーキング利用
・アクセス
-JR総武線「両国駅」徒歩約3分
-大江戸線「両国駅」徒歩約10分