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【影向寺】川崎市の古刹参拝と古木「乳イチョウ」の観賞

こんにちは。今回は、川崎市宮前区にある『影向寺(ようごうじ)』の参拝録です。
寺史などの文献が少ない為、創建当初の状況が不明な部分もあるようですが、近年の発掘調査の結果、創建年代は、7世紀後半にまで遡る事が明らかになった川崎市を代表する古刹です。

中原街道を逸れて、住宅街の坂道を上った高台にあります。
『影向寺』は、山号 威徳山、天台宗のお寺。御本尊は薬師如来です。
縁起によると、天平11年(739年)、光明皇后が眼病を患った時、聖武天皇の夢の中にひとりの僧が現れ、「武蔵の国橘樹郡橘郷に不思議な霊石がある場所があり、そこに薬師如来を安置すれば、皇后の眼病が治癒する」と言い、早速、行基を遣わし祈願したところ、皇后の病気が快方に向かったとの事。その翌年、天皇の勅命により、創建に至ったとの事です。

仁王門

仁王像は2018年に檀家の方から寄贈されたものらしい。

手水舎

ボーリングの玉のようなものから水が流れ出る手水舎。あまり見掛けないタイプですね。

太子堂

聖徳太子像が安置されている「太子堂」は、改修工事中。

薬師堂

現在の薬師堂は、元禄7年(1694年)に建立されたもので、神奈川県の重要文化財に指定されています。

『影向寺』は、川崎・横浜市の7つの寺院に安置されている「稲毛七薬師」のひとつ。12年に一度の寅年に一斉開帳されます。
眼にご利益があると云われており、眼の病気に効くとして、遠方から参拝される方もいらっしゃるようです。なお、薬師如来像は国指定重要文化財で、薬師堂の裏にある安置堂に安置されています。『影向寺』のホームページによると、12年に一度の一斉開帳以外は、正月三が日、お彼岸など、年に数回ガラス越しに参拝できるとの事です。

六地蔵

橘樹観音

この観音像も仁王像を寄贈された檀家の方から贈られたものらしい。

阿弥陀堂

参詣したのは5月上旬。ちょうどアヤメが咲いていました。アヤメとショウブの見分け方は難しいのですが、漢字で書くとどっちも「菖蒲」なんて知らなかったなぁ。

「阿弥陀堂」前の小庭。

乳イチョウ

そして、今回のお目当てである「影向寺の乳イチョウ」。樹高約28m、樹齢推定600年の古木・巨木で、かながわの名木100選に選定されています。

乳根を削って煎じて飲むと乳が出るようになると言う伝説が、この地にもあるようで、この事から「乳イチョウ」と呼ばれているのだそう。いつも、イチョウの古木には、力強い生命力をが感じるのですが、地球上に恐竜がいた何千万年も前から生息しているスゴイ樹木なんですよね。

「乳イチョウ」の傍には、”おそうじ小僧”。古木に宿る精霊のお使いみたいですね。

影向石

『影向寺』の名前の由来にもなった石が境内の一角に、ひっそりと佇んでいました。
奈良時代の創建時、塔の心礎として使用されたらしい。その後、時代は変わり、塔は失われて以降、この石のくぼみに常に霊水が湛えられ、その霊水で洗うと眼病が治癒すると云われたようです。くぼみに溜まった水に新緑が映し出されているのが印象に残りました。

基本情報

・名称:影向寺
・住所:川崎市宮前区野川本町3-4-4
・電話:044-766-7932
・駐車場:あり
・公式HP:威徳山影向寺 | yougouji.jp
・アクセス
 -JR南武線「武蔵新城駅」徒歩25分